No.15712 二つの回帰係数の差の検定 【MK】 2011/11/22(Tue) 07:27
お世話になっております。二つの回帰直線の傾きに有意な差があるかどうかを論じるにあたって,質問させて頂けましたら幸い
です。過去ログやウェブや参考書などを読んだ結果,以下の4つの方法が関連していると思われました。全ての方法を試したところ,導かれる検定結果(p値)
が異なっていることがわかりました。私の質問は,これらの手法のうち,どれが正しいのでしょうか,というものです。
(1)共分散分析における,回帰の平行性の検定(以下のURLを参考にしました)。
http://anchoret.seesaa.net/article/118194434.html
(2)それぞれの回帰係数を推定した際には標準誤差も得られるため,t分布表を利用して95%信頼区間を推定し,両者に重なりがなければ,有意差ありと判断する(以下のURLを参考にしました)。
http://kusuri-jouhou.com/statistics/kaiki.html
(1)と(2)の検定結果は同一であったため,どうやら同じことを行っているものと理解しました。
(3)
それぞれの回帰係数と標準誤差を用いて,t検定を行う。標準誤差から標準偏差,分散が計算できるため,t検定の式に代入することで,有意差の検定ができる
のではと考えました。しかし,この場合の検定結果は,(1),(2)とは異なっていました。t検定とは,平均値の差の検定と理解しておりましたので,回帰
係数の差の検定としては,まったく不適切ということでしょうか。
(4)最後は,Amyptotic parametoric testを用いるということを考えました。これは,以下のURLを参考にしました。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc042/10244.html
回帰係数とその標準誤差は得られておりますので,この式に代入することで,計算ができました。これの結果は,(1),(2)とは異なっておりました。
私
の質問は,これらの検定方法のうち,どれが正しいのでしょうかというものです。それぞれの検定方法には前提となるべき条件があることは理解しております。
それらが満たされた場合は,回帰直線の傾きに有意な差がみられるかどうかを検定するにあたり,どの方法をとっても正しいのでしょうか。お手数をおかけしま
して大変恐縮ですが,「この本/ウェブを読めばわかる」,ということでもかまいませんので,どなたかご教示頂けましたら幸いに存じます。どうぞよろしくお
願いいたします。
No.15713 Re: 二つの回帰係数の差の検定 【青木繁伸】 2011/11/22(Tue) 07:51
(2) は,2つの回帰係数の信頼区間を求めて,重ならないときに有意としたのですか?よくある誤解ですが,平均値の差の検定のとき,信頼区間が重ならないと有意と解釈するということがありますが,それは間違いです。
(3) は,全くの間違い。「t 分布を使う検定はなんでもかんでも t 検定」などと言うから間違えるのです。「2群の平均値の差の検定」と「2 つの回帰直線の平行性の検定」とは違います。
(4) は漸近近似検定です。
(1) が妥当でしょう。
No.15728 Re: 二つの回帰係数の差の検定 【MK】 2011/11/22(Tue) 18:52
青木先生
ご多忙の折,早速のお返事を頂きましてありがとうございました。(2)については,重
なっていても有意な差がみられることがあるということですね。過去ログで拝見しました。これを拝見していたことへの言及を忘れてしまいまして大変失礼致し
ました。(3)についても大変失礼致しました。
(4)についてのみ,私の理解を確認させてください。漸近近似検定です,とおっしゃったこ
とで含意しておられることは,近似しているに過ぎないものであって,(1)に比べると相対的に望ましくないということでしょうか。それとも,漸近近似検定
だから全く検討違いで使わないように,ということでしょうか。
お手数をおかけしまして大変恐縮ですが,どうぞよろしくお願い申し上げます。
No.15735 Re: 二つの回帰係数の差の検定 【青木繁伸】 2011/11/22(Tue) 21:10
> 漸近近似検定だから全く検討違いで使わないように,ということでしょうか。
「全く検討違い」ということでないのは明らかでしょう。
「近似的なもの」と言うことです。
No.15736 Re: 二つの回帰係数の差の検定 【MK】 2011/11/22(Tue) 21:27
青木先生
重ね重ね,本当にありがとうございました。とても勉強になりました。
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