No.16153 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/04(Wed) 19:56

いつもお世話になっております。
今日は,適合度の検定と多重比較について分からないことがあります。

以下のような場合です。
好きな果物調査の結果,みかん12人,りんご21人,もも8人でした。
このデータで好きな果物に偏りがあるのか,あるとすればどの果物が好きな人が多いのかを調べたいです。

まず,カイ2乗検定(適合度の検定)を行えばよいのではないかと思うのですが,その結果が有意だった場合,どのように多重比較を行えばよいのでしょうか。
どうか,よろしくお願い致します。

No.16154 Re: 適合度の検定と多重比較について  【青木繁伸】 2012/01/04(Wed) 21:29

まず全体として,一様性の検定をして,一様でないとしたら,全ての2つの組み合わせでどちらが多いの少ないの(母比率=0.5)を検定する?

No.16155 Re: 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/04(Wed) 22:18

いつもありがとうございます。

>まず全体として,一様性の検定をして,一様でないとしたら,全ての2つの組み合わせでどちらが多いの少ないの(母比率=0.5)を検定する?

一様性の検定をしてみました。
x2(2)= 6.488 , p<.05 
正確なP値は 0.0410
一様ではありませんでした。

そこで,どれが多いのかということを考えたいのですが,これは多重比較ではできないのでしょうか。

No.16157 Re: 適合度の検定と多重比較について  【青木繁伸】 2012/01/05(Thu) 08:35

> これは多重比較ではできないのでしょうか。

>> 正確なP値は 0.0410
>> 一様ではありませんでした。

なのだから,できるでしょ?

No.16158 Re: 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/05(Thu) 10:11

>全ての2つの組み合わせでどちらが多いの少ないの(母比率=0.5)を検定する?

それは,K 群の比率の差の検定・多重比較( 対比較 )のライアンの方法やテューキーの方法でできるのでしょうか。それとも別の方法があるのでしょうか。
自分が分からないのはそこでした。

No.16159 Re: 適合度の検定と多重比較について  【青木繁伸】 2012/01/05(Thu) 12:05

> それとも別の方法があるのでしょうか。

>> 全ての2つの組み合わせでどちらが多いの少ないの(母比率=0.5)を検定する

2カテゴリーで,母比率=0.5の漸近検定は一様性の検定ならカイ二乗検定(正規分布を使うのと同じ)。
正確な検定は,二項検定(F分布を使うのと同じ)また,あなたが最初に一様性の検定を行ったのは正確な検定の方だから,そのプログラムをそのまま使って2カテゴリーの一様性の検定をすればよい。

No.16160 Re: 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/05(Thu) 12:09

ライアンの方法を適用してよいのかどうか分からないのですが,一応やってみました。

○P2とP3の比較(m=3)
P1=12/41= 0.292682927, P2=21/41= 0.512195122, P3=8/41= 0.195121951
よって,比率の差=P3-P2= 0.317073171
この話では理論比を一様分布としているので,どの2個の比率を比較しても,Pi ≧ Pp ≧ Pj を満たす群の平均比率 Pは1/3・・・・(※)
よって,SE=√((1/3)*(2/3)*(1/21+1/8))=0.19585655
α’=2*0.05/3(3-1)=0.016666666
Zα’/2= 2.39398
RD=0.19585655*2.39398=0.468876664
P3-P2=0.317073171> RD=0.468876664
したがって,第2群と第3群の比率には差があるとはいえない。
検定終了。

どうも差はなさそうなのですが,以下の点がよくわかりません。
1 この話で,K 群の比率の差の検定・多重比較( 対比較 )のライアンの方法を適用してもよいのか。
2 上記の(※)のところはこれでよいのか。
いかがでしょうか。

No.16161 Re: 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/05(Thu) 12:12

すみません。
No. 16160を書いていたら,その前にお返事をいただいていたのに気付きませんでした。
これから仕事なので,うちに帰ってからお返事の内容について考えたいと思います。

No.16162 Re: 適合度の検定と多重比較について  【青木繁伸】 2012/01/05(Thu) 16:21

この問題に,ライアンの方法は適用できません。
No. 16160 は間違いです。

No.16163 Re: 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/05(Thu) 17:39

大至急帰ってきました。

>正確な検定は,二項検定(F分布を使うのと同じ)また,あなたが最初に一様性の検定を行ったのは正確な検定の方だから,そのプログラムをそのまま使って2カテゴリーの一様性の検定をすればよい。

というと,
12と21 正確なP値は 0.162756
21と8  正確なP値は 0.0241195
12と8  正確なP値は 0.503445
となり,21と8で有意になりました。
単純にりんご好き(21人)は,桃好き(8人)より多いと結論づけてよいのでしょうか。有意水準を下げなくてもよいのか,そこがひっかかっています。
それとも,有意水準を1/3の0.016666にして,全部有意でないとした方がよいのでしょうか。

No.16164 Re: 適合度の検定と多重比較について  【青木繁伸】 2012/01/05(Thu) 18:17

> 有意水準を下げなくてもよいのか,そこがひっかかっています。
> それとも,有意水準を1/3の0.016666にして,全部有意でないとした方がよいのでしょうか。

多重比較なのですから,有意水準は調整しなくてはなりませんよ。
単純なボンフェローニ法でやるなら,α/3 にすべきですね。

No.16165 Re: 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/05(Thu) 19:33

そうなのですね。
「ボンフェローニの方法」ということを何度も見聞きしてきましたが,比較する回数で単純にわるやり方がボンフェローニの方法なのですね。初めてそのことがわかりました。

そして,永田・吉田(1997)統計的多重比較法の基礎 サイエンティスト社 を読んだところでは,この問題はスティール・ドゥワスの方法が適用できるような気がしてきました。ただ,載っている例がこの問題とはパターンが違っているようにも思えます。

ボンフェローニの方法以外では,どのような方法が適用可能なのか,お教えいただけないでしょうか。

No.16166 Re: 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/05(Thu) 20:56

永田・吉田(1997)を頑張って読んでみました。

スティール・ドゥワスの方法はよくわかりませんでしたが,ボンフェローニの方法の仲間はわかりました。
ホルムの方法とシェイファーの方法です。

有意水準を割る数の決め方が違っていました。
1 ボンフェローニの方法とホルムの方法とシェイファーの方法では,一番小さいp値の検定に使うときの有意水準を割る数は同じで,それは比較の回数
→ということは,一番小さいp値が比較の回数で割った有意水準より大きければ,どの方法でやっても同じでゲームオーバー。多重比較は3群以上だから,最低でもp値は0.016666より小さくないと無理。
2 上の条件をクリアーできた場合(一番小さいpの検定が有意)のとき,シェイファーの方法>ホルムの方法>ボンフェローニの方法の順で検出力が高くなる

私はこのように理解しました。
この理解に基づけば,ボンフェローニの方法以外の方法でも,この問題でどれかの条件が有意であると判定できる方法はありません。

永田・吉田(1997)は,敷居が高すぎて本棚に置いておいただけでしたが,必要に迫られて読んでみたところ,ほんの一部でしたが理解できたような気がしました。

先生にお付き合いいただいて,以上のことが理解できました。
本当にありがとうございました。
もし,上の理解が間違っていましたら,お手数ですが教えていただけないでしょうか。

No.16167 Re: 適合度の検定と多重比較について  【後医は名医】 2012/01/05(Thu) 21:33

私は使った事がありませんが,奥の手?の「シェイファーの別解」があります。
>http://cplnet.jp/ANOVA_JSPP2004.pdf
3群の多重比較に限り,全体がχ2検定で有意差がでていれば,あとの有意水準は0.05でよいので「21」と「8」は有意差ありとみなしてよいと思われます。

No.16168 Re: 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/05(Thu) 23:32

ありがとうございます。

ご紹介いただいた入戸野(2004)には,シェイファーの別解の説明として,

も し1要因の分散分析が有意になったときだけ多重比較を行うのであれば,最初の分散分析によって帰無仮説{μ1 = μ2 = μ3 = μ4}が棄却されると考えられる.水準の中で少なくとも一組は平均値が同じでないといえるので,上記の方法の2段階目と同じ論理構造になる.そのため,最 小のp値と2番目のp値はどちらも同じ基準(4水準のときはα / 3)で検定してよい.・・・(☆)

とあります。このことは分かるような気がするのですが,ちょっとひっかかる点があります。

1「分散分析」とある点。分散分析だろうが,カテゴリーデータの分析だろうが,有意水準を割る数の話なので関係なしとしてよいような気もしますが・・・。
2 Table2で小さい順に並び換えたp値に対応する有意水準を以下のようにしている点。
Bonferroni α/3 α/3 α/3
Holm    α/3 α/2 α
Shaffer   α  α  α
もし,「α,α,α」が正しいのならば,3群間の多重比較はすべて有意水準を下げる必要がないことになります。夢のような話ですが飛びついてよいのか不安があります。
私の理解では,☆の通りに有意水準を計算すれば,以下のようになるのではないかと思われます。
Shaffer   α/2 α/2 α
でも,これは,「2段階目」の理解が違うのかもしれません。
これでもα/2で有意なのでいいか・・・。

以上の不安を払拭していただけると助かります。

No.16169 Re: 適合度の検定と多重比較について  【後医は名医】 2012/01/05(Thu) 23:51

>3群間の多重比較はすべて有意水準を下げる必要がないことになります。夢のような話ですが飛びついてよいのか不安があります。
そ の前に全体で差がある事を確認してからですので,すべての3群間比較で無条件に有意水準を下げる必要はないと解釈しています。FisherのPLSD法で も分散分析で有意差がでれば,3群間の検定では有意水準を下げる必要はありませんので,これと同じ理屈と思っています。しかし,私も統計学者ではありませ んので,自信はありません。すいません。やはり不安なら,「有意差は3群でなかった」と発表されるのも無難でよいかもしれません。

No.16170 Re: 適合度の検定と多重比較について  【後医は名医】 2012/01/06(Fri) 00:06

>私の理解では,☆の通りに有意水準を計算すれば,以下のようになるのではないかと思われます。
>Shaffer   α/2 α/2 α
書き忘れました。全体で有意差が出ていますので(どの群間かは不明ですが),たとえどの群間に有意差あると仮定しても残りの2つの帰無仮説は理論的に同時に成立することはありません。ですから2で割る必要はないと思います。

No.16171 Re: 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/06(Fri) 00:14

ありがとうございます。

>その前に全体で差がある事を確認してからですので,すべての3群間比較で無条件に有意水準を下げる必要はないと解釈しています。
はい。全体では差がありました。
随分前のNo.16155です。すみません。

>FisherのPLSD法でも分散分析で有意差がでれば,3群間の検定では有意水準を下げる必要はありませんので,これと同じ理屈と思っています。
そうなのですね。私は,FisherのPLSD法のことをまったく知りませんでした。これから調べてみようと思います。

No.16172 Re: 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/06(Fri) 00:29

さらに詳しくご説明下さり,ありがとうございます。
No.16171を書いていて,その前のお返事に気付きませんでした。

>全体で有意差が出ていますので(どの群間かは不明ですが),たとえどの群間に有意差あると仮定しても残りの2つの帰無仮説は理論的に同時に成立することはありません。ですから2で割る必要はないと思います。

私は全体で有意差が出ることと,多重比較の群間比較は別物と理解していました。でも,その理解だと,☆の「最初の分散分析によって帰無仮説{μ1 = μ2 = μ3 = μ4}が棄却されると考えられる.」と矛盾してしまいます。

2 で割る必要がないのは,例えば,3群間の比較に関する帰無仮説をa=b, b=c, c=aとしたとき,一つの帰無仮説(例えばa=b)を否定すれば,残りの2つ(b=cとc=a)が同時に成り立つ(a=b=cが成り立つ)ことはできない から,残りのうち1つしか成り立たなくなるので,1で割ればよいということですね。

No.16173 Re: 適合度の検定と多重比較について  【後医は名医】 2012/01/06(Fri) 01:02

>2で割る必要がないのは,例えば,3群間の比較に関する帰無仮説をa=b, b=c, c=aとしたとき,一つの帰無仮説(例えばa=b)を否定すれば,残りの2つ(b=cとc=a)が同時に成り立つ(a=b=cが成り立つ)ことはできない から,残りのうち1つしか成り立たなくなるので,1で割ればよいということですね。

そういうことです。「統計的多重比較法の基礎」のp97のHolland-Copenhaverの表にも3群は3-1-1になっています。全体で有意差がでたことで,このうちの3が消え,残りは1-1だけになるという理論がシェイファーの別解だと理解しています。

No.16174 Re: 適合度の検定と多重比較について  【迷える子羊】 2012/01/06(Fri) 01:44

分かりました!
Holland-Copenhaverの表の3群の3-1-1が,全体の有意性で一つずれたのが,シェイファーの別解なのですね。
論文,これでいってみようと思います。
遅くまでお付き合いいただいてありがとうございました。

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