No.16218 無相関と回帰係数の有意性について  【K】 2012/01/14(Sat) 16:58

ある独立変数Xが別の独立変数Y,Zよりもある従属変数Wに大きな回帰係数を示すことを予測し,重回帰分析を行う時,相関 分析の段階ですでに変数Yと変数Zの相関係数が統計的に有意でないことが示された場合,重回帰分析の際に変数Yを独立変数としてモデルに投入する意味はあ るのでしょうか?

結局その変数を入れてみても,ステップワイズ法ではその変数は除外されますし,AMOSでパス図を作図した場合でも,回帰係数は有意ではありませんでした。

相関係数と回帰係数の数式上の関係を考えてみても,上記のつながりは明らかのようにも思えるのですが,どうなのでしょうか?

関連して,例えば無相関検定では有意でないが,回帰係数では有意になるといった状況は存在するのでしょうか?

No.16219 Re: 無相関と回帰係数の有意性について  【青木繁伸】 2012/01/14(Sat) 17:58

> 例えば無相関検定では有意でないが,回帰係数では有意になるといった状況は存在するのでしょうか?

そんな例は,幾つでも作れます。
データフレーム
W X Y Z
1 39.3 52.2 54.3 48.1
2 56.9 54.8 55.4 44.5
3 71.2 72.1 56.2 45.9
4 56.8 64.3 49.1 48.7
5 35.3 47.4 42.1 50.0
6 44.4 49.1 50.3 44.9
7 46.4 46.3 53.4 64.5
8 53.6 67.7 36.8 57.9
9 48.1 49.4 52.9 59.3
10 59.0 52.1 56.4 50.6

相関係数行列
W X Y Z
W 1.0000000 0.7530521 0.3494580 -0.2112518
X 0.7530521 1.0000000 -0.1737791 -0.2374675
Y 0.3494580 -0.1737791 1.0000000 -0.2455940
Z -0.2112518 -0.2374675 -0.2455940 1.0000000

単相関係数の検定 W と X 有意
Pearson's product-moment correlation

data: d$W and d$X
t = 3.2372, df = 8, p-value = 0.01193
alternative hypothesis: true correlation is not equal to 0
95 percent confidence interval:
0.2347129 0.9379551
sample estimates:
cor
0.7530521

単相関係数の検定 W と Y 有意でない
Pearson's product-moment correlation

data: d$W and d$Y
t = 1.0549, df = 8, p-value = 0.3223
alternative hypothesis: true correlation is not equal to 0
95 percent confidence interval:
-0.3592030 0.8025097
sample estimates:
cor
0.349458

Call:
lm(formula = W ~ ., data = d)

Residuals:
Min 1Q Median 3Q Max
-10.8891 -0.3152 -0.0514 1.3241 6.5972

Coefficients:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
(Intercept) -59.1754 30.4637 -1.942 0.10010
X 1.0112 0.2130 4.748 0.00317 ** 有意
Y 0.8665 0.3005 2.883 0.02794 * 有意
Z 0.1981 0.2907 0.681 0.52114
---
Signif. codes: 0 ‘***’ 0.001 ‘**’ 0.01 ‘*’ 0.05 ‘.’ 0.1 ‘ ’ 1

Residual standard error: 5.503 on 6 degrees of freedom
Multiple R-squared: 0.819, Adjusted R-squared: 0.7285
F-statistic: 9.049 on 3 and 6 DF, p-value: 0.01206
> ステップワイズ法ではその変数は除外されますし

このデータの場合には,(私の変数選択プログラムでは)X, Y は共に選択されました。

つまり,単変量解析の結果から多変量解析の結果は予測できないということです。

No.16220 Re: 無相関と回帰係数の有意性について  【K】 2012/01/14(Sat) 18:22

青木先生

ご回答ありがとうございました。
また,例まで示していただいて,疑問が氷解いたしました。

>単変量解析の結果から多変量解析の結果は予測できない

今後統計学を学んでいく上で,いつも心に刻んでおきたいと思います。

ありがとうございました。

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