No.16706 Re: 重回帰分析の検定について 【青木繁伸】 2012/04/02(Mon) 15:18
「分散分析による検定」というのは,分散分析表に表される検定のことでしょう。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Regression/mreg/mreg4.html
帰無仮説 H0: 「分析に使用した独立変数で,従属変数は説明できない」。
対立仮説 H1: 「分析に使用した独立変数で,従属変数は説明できる」。
「偏回帰係数の検定」は,
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Regression/mreg/mreg3.html
帰無仮説 H0: 「bi=0 (i=1,2,…,p)」。
対立仮説 H1: 「bi≠0 (i=1,2,…,p)」。
独立変数が1個だけの場合なら,両者の結果(P値)は同じですが,独立変数が複数なら,一致する訳がないでしょう(前者は結果が一つ,後者は複数ということだけからも)。
ということで,別物です。
No.16707 Re: 重回帰分析の検定について 【K】 2012/04/02(Mon) 16:14
青木先生
早速のご回答をいただきまして誠にありがとうございます。
自分自身の正しい理解のため,恐れ入りますがもう1つ確認させてください。
分散分析表に表わされる検定の帰無仮説 H0:「分析に使用した独立変数で,従属変数は説明できない」は,式の意味合いで表すとどのような形になりますでしょうか?
私は以下のように理解しておりまして,
帰無仮説 H0:「すべての偏回帰係数が0である」(B1=B2=,…,=Bp=0)
こ の仮説について,回帰の平均平方和と残差の平均平方和の比(F値)に基づき,検定していると理解(誤解?)しておりました。もし,この仮説の形が正しいの であれば,「偏回帰係数の検定」で独立変数の有意性が確認できれば「分散分析による検定」は不要ではないだろうか(偏回帰係数が1つでも有意になれば分散 分析表の結果も有意になる?)と,思った次第です。
まだ理解が曖昧なので,頓珍漢なことを質問してしまっているかもしれませんが,ご指導いただければ幸いです。
宜しくお願い致します。
No.16709 Re: 重回帰分析の検定について 【青木繁伸】 2012/04/02(Mon) 16:48
> 分散分析表に表わされる検定の帰無仮説 H0:「分析に使用した独立変数で,従属変数は説明できない」は,式の意味合いで表すとどのような形になりますでしょうか?
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Regression/mreg/mreg4.html にあるように,MSr が MSe より十分に大きければ回帰の意味があるということです(回帰で説明できる部分が残差より大きい)。
以下のようなシミュレーション(反例)を示しておきます。# tri.mat, gendat, tolerance は http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/R/index.html で定義したものx1, x2, x3 に対する偏回帰係数が0であるという帰無仮説は全て採択される。しかし,回帰の分散分析の結果は P = 0.03524 であり,回帰分析が有効ではないという帰無仮説は棄却される。
n <- 50
r1 <- 0.3
(r <- tri.mat(c(1, r1, 1, r1, r1, 1, r1, r1, r1, 1)))
p <- 3
d <- as.data.frame(gendat(n, r))
colnames(d) <- c(paste("x", 1:3, sep=""), "y")
tolerance(d)
a <- lm(y~., d)
summary(a)
分析結果
> # tri.mat, gendat, tolerance は http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/R/index.html で定義したもの
> n <- 50
> r1 <- 0.3
> (r <- tri.mat(c(1, r1, 1, r1, r1, 1, r1, r1, r1, 1)))
[,1] [,2] [,3] [,4]
[1,] 1.0 0.3 0.3 0.3
[2,] 0.3 1.0 0.3 0.3
[3,] 0.3 0.3 1.0 0.3
[4,] 0.3 0.3 0.3 1.0
> p <- 3
> d <- as.data.frame(gendat(n, r))
> colnames(d) <- c(paste("x", 1:3, sep=""), "y")
> tolerance(d)
tolerance VIF
x1 0.83125 1.203008
x2 0.83125 1.203008
x3 0.83125 1.203008
y 0.83125 1.203008
> a <- lm(y~., d)
> summary(a)
Call:
lm(formula = y ~ ., data = d)
Residuals:
Min 1Q Median 3Q Max
-1.8177 -0.6298 0.0453 0.6792 1.6559
Coefficients:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
(Intercept) 1.070e-16 1.344e-01 0.000 1.000
x1 1.875e-01 1.448e-01 1.295 0.202
x2 1.875e-01 1.448e-01 1.295 0.202
x3 1.875e-01 1.448e-01 1.295 0.202
Residual standard error: 0.9505 on 46 degrees of freedom
Multiple R-squared: 0.1687, Adjusted R-squared: 0.1145
F-statistic: 3.113 on 3 and 46 DF, p-value: 0.03524
No.16710 Re: 重回帰分析の検定について 【K】 2012/04/02(Mon) 17:10
青木先生
ご丁寧にご返答いただきまして誠にありがとうございます。
大変よくわかりました。引き続き勉強させていただきます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
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