No.17156 「母比率の検定」の記事について(正規分布による近似)  【ARQ】 2012/07/07(Sat) 22:43

統計学自習ノートにはいつもお世話になっております。

さて,標題にある記事 ( http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Hiritu/bohiritu-test.html ) の件についてですが,
検定量Z[0]の算出方法について疑問があります。記事には
Z[0]=|p-π[0]|/√(π[0](1+π[0])/n)
という算出方法を取っていますが,

Z[0]=|p-π[0]|/√(π[0](1-π[0])/n) ← 根号の底の部分について符号が異なる
ではないかと思います。

というのも,おそらく,このZ[0]は二項分布B[n,p]を標準正規分布に近似したものと思料されます。
陽性数Xの分布がB[n,π[0]]に従うのであれば,
Xの分布はN(nπ[0],nπ[0](1-π[0]))に近似できるとして,
Z[0]=(X-nπ[0])/√(nπ[0](1-π[0]))
=(X/n-π[0])/√(π[0](1-π[0])/n)
=(p-π[0])/√(π[0](1-π[0])/n)
とすれば,Z[0]は標準正規分布に従うことになります。

私の見解に誤りがあれば,ご指摘いただけると幸いです。

また,正規分布に近似する方法で検定するには
min(nπ[0],n(1-π[0]))≧5
という条件が必要としていますが,これはどういった根拠でしょうか。
おそらくは二項分布における歪度と関係があると思うのですが。
こちらもご教示いただければ幸いです。

No.17157 Re: 「母比率の検定」の記事について(正規分布による近似)  【青木繁伸】 2012/07/08(Sun) 07:43

> 根号の底の部分について符号が異なる

MathJax により,オンラインで LaTeX による数式表示に書き換えたときに間違えたのですね。
計算例を見れば,数式の書き間違いであることがあきらかです。

> また,正規分布に近似する方法で検定するには
min(nπ[0],n(1-π[0]))≧5
という条件が必要としていますが,これはどういった根拠でしょうか。

文字通り,正規分布で近似できるかどうかということです。

No.17163 Re: 「母比率の検定」の記事について(正規分布による近似)  【ARQ】 2012/07/08(Sun) 18:23

ありがとうございました。

>> また,正規分布に近似する方法で検定するには
>min(nπ[0],n(1-π[0]))≧5
>という条件が必要としていますが,これはどういった根拠でしょうか。

>文字通り,正規分布で近似できるかどうかということです。

おそらくは
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Bunpu/normdist/yurai.html
にある記事のことだと思いますが,
閾値が5である理由がいまいち分かりませんでした
(文献によっては閾値が10となっているものもあるようです)。

何か,参考となる文献がございましたら御紹介いただけますでしょうか。
差し出がましいようですが,よろしくお願いいたします。

No.17165 Re: 「母比率の検定」の記事について(正規分布による近似)  【青木繁伸】 2012/07/09(Mon) 13:09

林知己夫監修,多賀保志編集「調査とサンプリング」東京同文書院,p.27
岩原信九郎「教育と心理のための推計学」日本文化科学社,p.161
などですが,所詮「近似」であるし,np>5ならよくてnp=4 はだめというものでもないです。これらは,計算環境が悪かった時代の簡便法なので,今は,いつも正確な方法(F分布を使う方法)を採ればよいだけの話です。

No.17167 Re: 「母比率の検定」の記事について(正規分布による近似)  【ARQ】 2012/07/09(Mon) 20:40

ありがとうございました。
ご紹介いただいた文献については図書館に行って探してみようと思います。

● 「統計学関連なんでもあり」の過去ログ--- 045 の目次へジャンプ
● 「統計学関連なんでもあり」の目次へジャンプ
● 直前のページへ戻る