No.17313 使用すべき統計解析法について  【Football Lover】 2012/08/18(Sat) 11:21

いつもこのサイトで勉強させていただいております。

使用すべき統計解析法につき,教えていただきたいと思います。
腹部手術周術期の出血の程度と心筋梗塞の発症の関連について解析しております。

出 血の程度により5群にわけました。Group A(出血量100ml未満),Group B(出血量100以上200ml未満),Group C(出血量200ml以上300ml未満),Group D(出血量300ml以上400ml未満),Group E(出血量400ml以上)としました。

 Group A Group B Group C Group D Group E
Total N=494   N=90 N=175 N=152 N=54 N=23
心筋梗塞あり(N) N=2 N=4 N=4 N=6 N=5
心筋梗塞あり(%) 2.2 2.3 2.6 11.1 21.7

仮説は,「周術期の出血が多ければ多い程,心筋梗塞の発症が多い」としております。
この場合,この5群間での心筋梗塞の発症頻度の差の解析には,
Fisher's exact test (extended)を使うべきか,Exact test (Mann-Whitney's test U test),Exact test (Kruskal-Wallis test)を使うべきか,まだ理解できておりません。

この場合,どのような統計解析手法を用いて仮説を証明すべきか,教えていただければ大変ありがたいです。よろしくお願いいたします。

No.17315 Re: 使用すべき統計解析法について  【Mashi】 2012/08/18(Sat) 11:58

study designが何よりも大事です。
その点で,あまり多くないNでこれだけ多くの群に分けるのは好ましくありません。
MI(+,-)の2群にわけて出血量がどれだけであったをANOVAで解析するのがいいでしょう。有意な差が出れば報告に値しますね。
術中出血が多いことが術後MIの危険因子であることを示したいのでしょう?
それならば,multiple logistic regeression analysisも行うのがbestですね。ただ,イベントの発生が21と少ないので,難しいかもしれません。
最後にもっとも大事な問題として,このdataは本当ですか?にわかに信じがたい結果です。同じ疑問をreviewerも持つはずですからしっかりしたmethodologyとdiscussionの準備が必要です。

No.17317 Re: 使用すべき統計解析法について  【青木繁伸】 2012/08/18(Sat) 13:12

Fisher's exact test (extended)を使うべきか,
 比較する変数は名義尺度(順序尺度であっても順序の情報を利用しない)
Exact test (Mann-Whitney's test U test)
 2群の比較。比較する変数は順序尺度
Exact test (Kruskal-Wallis test)
 3群以上の比較。比較する変数は順序尺度

であるから,今の場合は Exact test (Kruskal-Wallis test)。
ただ,今回の対象変数は2値変数なので,Fisher's exact test (extended) も可。
なお,今回のデータでは,Exact test (私の作った exact.kw)をやろうとすると計算時間がかかる(どれくらいで答えができるか見積もれない)。なので,Exact でなくてもよいだろう。
> exact.kw(x)
カイ二乗値 = 11.1992, 自由度 = 1, P 値 = 0.000818324

> その点で,あまり多くないNでこれだけ多くの群に分けるのは好ましくありません。
MI(+,-)の2群にわけて出血量がどれだけであったをANOVAで解析するのがいいでしょう。有意な差が出れば報告に値しますね。

2群にわけるか5群に分けるかはどちらでもよい。結果として,5群に分けた場合も有意なのだから。ただ,統計学的に有意というのと実質科学的に有意というのを峻別すべし。

やはり,出血量をカテゴリー化などしないで説明変数としてロジスティック回帰すべし。そうすれば,他の要因も説明変数として考慮できるのだから。

No.17321 Re: 使用すべき統計解析法について  【Football Lover】 2012/08/18(Sat) 16:14

早速のご返信ならびに解説,ありがとうございました。
このまま解析するのであれば,3群以上の比較,ということで,Kruskal-Wallis testが適しているとのこと,わかりました。
ただ,説明変数としてlogistic regressionをした方が,他の要因との比較もできてよい,とのことですね,ありがとうございます。

もう一点,おうかがいしたいのですが,この5群間で,周術期の血圧の差があるか,ないか,の解析をしたい場合にどうするか,ということです。

こ の場合,One factor ANOVAでまず,多群間の収縮期血圧の平均値に有意差があるかどうかを検定して,有意差があれば,多重比較検定にもっていき,どの群間に有意差があるか を検定する,という手法でよろしいのでしょうか?多重比較検定としては,各群のデータ数も異なり,かつ5群なので,Tukey-Kramer法などがよろ しいでしょうか?

何度も申し訳ありませんが,よろしくお願いいたします。

No.17322 Re: 使用すべき統計解析法について  【青木繁伸】 2012/08/18(Sat) 18:50

> One factor ANOVAでまず,多群間の収縮期血圧の平均値に有意差があるかどうかを検定して,有意差があれば,多重比較検定にもっていき,どの群間に有意差があるか を検定する,という手法でよろしいのでしょうか?多重比較検定としては,各群のデータ数も異なり,かつ5群なので,Tukey-Kramer法などがよろ しいでしょうか?

そういうことでよいと思いますよ。

No.17325 Re: 使用すべき統計解析法について  【Football Lover】 2012/08/19(Sun) 10:03

青木先生,色々とご指導ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

No.17393 Re: 使用すべき統計解析法について  【Football Lover】 2012/08/29(Wed) 13:51

先日(8/18),使用すべき統計解析法につき,教えていただきありがとうございました。
その関連でもう一点,ご質問がございます。

前 回同様,出血の程度により5群にわけるとします。Group A(出血量100ml未満),Group B(出血量100以上200ml未満),Group C(出血量200ml以上300ml未満),Group D(出血量300ml以上400ml未満),Group E(出血量400ml以上)。
そのときの,心筋梗塞発症の頻度と周術期の平均心拍数>100bpmの頻度が以下のようであったとします。

 Group A Group B Group C Group D Group E
N=300 N=750 N=900 N=500 N=250
心筋梗塞あり(N) N=5 N=15 N=40 N=35 N=35
心拍数>100 (N) N=20 N=55 N=95 N=85 N=65

仮説は,「周術期の平均心拍数が多ければ多い程,心筋梗塞の発症が多い」としております。
こ の場合,「周術期の出血量が多ければ多い程,心筋梗塞の発症が多い」および「周術期の出血が多ければ多い程,平均心拍数>100bpmの頻度が多 い」というのは,先日ご教授いただいたFisher's exact test (extended)あるいはKruskal-Wallis testを使用して有意差ありということがわかりました。

この場合,「周術期平均心拍数>100bpm」と「心筋梗塞発症」の関連 については何か統計学的に証明できるものでしょうか?もちろん,因果関係については何も言うことができないと思いますが,少なくともこの二つの事項に関連 性があるとか,相関するとか,そういうことを証明するにはこのデータだけでは不十分でしょうか?

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