No.21296 ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【ののじ】 2014/09/05(Fri) 09:29

お世話になります。
小児科医です。
どうぞ,よろしくお願い申し上げます。

1)ロジスティック回帰分析を用いて,データ解析を行いました。
Adjusted ORとCrude ORの値がかなりかい離し,また,Adjusted ORの値が極めて高い値となりました。
サンプル数と因子の問題で,「みすぎによる出過ぎ」(これもORに当てはまる概念が不明です)かと思ったのですが,Hosmer-Lemeshowのgoodness-of-fit testでは,p>0.05の結果です。
因子が10程度あるところ,サンプル数の最小値が3(a)程度なので,通常必要とされると考えられる30(a×10)を満たしていないと考えています。
このデータをどのように解釈すればよいでしょうか。
学会発表および論文に使用可能なのでしょうか。

2) 状況によって,例えば疾患発症数が0の場合は,事実としてありえると考えますが,その際にはパワー計算をどのように行い,また,それがパワーの問題でないとどのように証明すればよいのでしょうか。

御教授のほど,よろしくお願い申し上げます。

No.21299 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【後医は名医】 2014/09/07(Sun) 23:24

>学会発表および論文に使用可能なのでしょうか。
ののじさんの説明だけではよくわかりませんが。
因子が10というのは独立変数がが10という意味でしょうか?サンプル数の最小値が3というのも従属変数の少ない方が3という意味なのでしょうか。と,すれば残念ながら,学会発表は無理だと思います。crudeなオッズ比で話をするしかないと思います。

No.21304 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【ののじ】 2014/09/09(Tue) 17:49

後者は名医様,お返事,ありがとうございます。
確認させてください。

>因子が10というのは独立変数がが10という意味でしょうか?サンプル数の最小値が3というのも従属変数の少ない方が3という意味なのでしょうか。
→独立変数を原因(疾患発症に影響を及ぼすであろう因子),従属変数を結果(疾患の発症があった例数)とした場合となります。

パワーの問題となると思いますが,無理とおっしゃられる根拠の計算方法など,どのようにされておりますでしょうか。

よろしくお願い申し上げます。

No.21305 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【後医は名医】 2014/09/09(Tue) 19:39

パワーについては,私はわかりませんが
>通常必要とされると考えられる30(a×10)を満たしていないと考えています。
この条件を満たしてないなら,査読者からサンプルサイズが小さすぎるという指摘がくるのでは。
もっとも,これで有意差がでているなら,発表も可能かと思います。臨床系ではサンプルサイズが小さくても有意差があれば,認められる事が多いので。

No.21306 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【青木繁伸】 2014/09/09(Tue) 22:06

どうも,記述が曖昧で,コメントを差し控えていましたが。

> 独立変数を原因(疾患発症に影響を及ぼすであろう因子),従属変数を結果(疾患の発症があった例数)とした場合となります。

意味不明です。

パワーとか以前に,「独立変数の個数は,終末事象の 1/10」では??(従属変数 1 個あたり 10 の終末事象が必要)
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc043/11153.html

終末事象が 3 例しかないのですか?だったら,「分析の意味がない!」ですよね。

No.21307 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【ののじ】 2014/09/10(Wed) 11:00

青木先生,お返事ありがとうございました。

終末事象が 3 例しかないのですか?だったら,「分析の意味がない!」ですよね。
→ これは,ロジスティック回帰分析のことの理解でよろしいでしょうか。

「独立変数の個数は,終末事象の 1/10」
→ 出典等,ありがとうございました。
研究開始にあたり,事前にパワー計算する方法も御教示頂けましたら幸いです。

元々の質問に戻ります。
1)Adjusted ORを計算したモデルで,Hosmer-Lemeshowのgoodness-of-fit testを検討すると,p>0.05の結果でモデルとして適していると通常解釈され,一方,Crude ORの計算をHosmer-Lemeshowのgoodness-of-fit testで検討すると,p<0.05の結果でモデルとして適していないと通常解釈される,結果でした。
このことは,どのように統計学的な意味なのでしょうか。
ネットレベルの知識では,Hosmer-Lemeshowのgoodness-of-fit testを信頼しない学派もあるとか。。。

2) 記述があいまいとのご指摘なので,一部記述を変更します。
事実が,いくら(例えば無限大に)サンプル数を増やした場合でも,終末事象(例えば疾患発症数)が0の場合は,その結果がサンプル数(つまりパワー)の問題でないとどのように証明すればよいのでしょうか。

どうぞ,よろしくお願い申し上げます。

No.21308 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【青木繁伸】 2014/09/10(Wed) 11:27

>> 終末事象が 3 例しかないのですか?だったら,「分析の意味がない!」ですよね。

> → これは,ロジスティック回帰分析のことの理解でよろしいでしょうか。

「独立変数の個数は,終末事象の 1/10」ということは,そのように書いたつもりですが。

> 研究開始にあたり,事前にパワー計算する方法も御教示頂けましたら幸いです。

「パワー」って,何の検定のパワーなんですか?

> 元々の質問に戻ります。
> Adjusted OR...p>0.05, Crude OR...p<0.05
> このことは,どのように統計学的な意味なのでしょうか。

p > 0.05 とか p < 0.05 ではなく,具体的な数値を書きましょうね。 0.05 なんて,慣例に過ぎないのだから。計算の仕方が異なれば,結果も異なっても不思議ではないでしょう。

> 2) 記述があいまいとのご指摘なので,一部記述を変更します。
> 事実が,いくら(例えば無限大に)サンプル数を増やした場合でも,終末事象(例えば疾患発症数)が0の場合は,その結果がサンプル数(つまりパワー)の問題でないとどのように証明すればよいのでしょうか。

繰り返しますが,何の検定のパワーなんですか?

また,「記述があいまい」というのは,終末事象が 3 件なのに,独立変数を 10 個使ったのですか,そうではないというのですか。

すれ違う以前に,通じないんですけど。

No.21309 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【ののじ】 2014/09/10(Wed) 12:49

青木先生,御回答ありがとうございました。
お世話になります。

> 研究開始にあたり,事前にパワー計算する方法も御教示頂けましたら幸いです。

「パワー」って,何の検定のパワーなんですか?

および
繰り返しますが,何の検定のパワーなんですか?

→ 私達周辺でいわれている「パワー」とは,ロジスティック回帰分析に必要なサンプル数です。いわゆる,臨床研究でいう対象数のことです。

> このことは,どのように統計学的な意味なのでしょうか。

p > 0.05 とか p < 0.05 ではなく,具体的な数値を書きましょうね。 0.05 なんて,慣例に過ぎないのだから。計算の仕方が異なれば,結果も異なっても不思議ではないでしょう。

→ 不思議はないとは私も思います。また,p値ですが,たとえですから,p = 0.20 と p = 0.005とでも考えていただけましたら幸いです。
そして,私が知りたいのは,Hosmer-Lemeshowのgoodness-of-fit testを用いてモデルとして,Adjusted ORは適している,Crude ORは適していないとの結果の場合,どういう統計的解釈を専門家はするのかということです。

また,「記述があいまい」というのは,終末事象が 3 件なのに,独立変数を 10 個使ったのですか,そうではないというのですか。
→ 終末事象が 3 件で,独立変数を 15 個程度,全体の対象数は2000人です。

追加質問です。
「独立変数の個数は,終末事象の 1/10」とのことですが,青木先生の最初の御回答の過去ログを見てみました。
************************************
No.11154 Re: ロジスティック回帰分析についてですが。  【surg】 2009/10/30(Fri) 09:56

> 再度ロジスティック回帰分析についてですが,独立変数の選択は単変量解析においてp<0.25やp<0.1,p<0.05などありますがどれを採択するのが望ましいのでしょうか?

青木先生も仰っているように,単変量解析の結果でモデルを選択する方法は間違っています.モデルの選択は各モデルのデビアンスの尤度比検定(あるいはスコア検定,Wald検定),あるいはAICの比較により行うべきです.

>またN数は独立変数の10倍程度必要とのことですが満たさない場合は信頼性が低いのでしょうか?

「信頼性」は問題ないでしょう.推定値の信頼区間が広くなったり,検定で有意差が認められにくかったりするだけです.
***************************************
上記の過去ログの中のN数とは,全体の対象数でしょうか。終末事象のことでしょうか。

ずいぶん通じにくいようですが,よろしくお願い申し上げます。

No.21310 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【ののじ】 2014/09/10(Wed) 14:47

青木先生,よろしくお願い申し上げます。

更に,過去ログをみてみました。
******************************
No.10221 重回帰分析に必要なサンプル数  【畑】 2009/06/27(Sat) 11:30

はじめて質問する者で統計に関しては初心者です。

サンプルの限られたデータに関して重回帰分析を行いデータ間の関連を統計的に示したいと思っています。

その際に説明変数をいくつか入れる必要があるのですが,重回帰分析ではしばし説明変数の10倍のサンプル数が必要であるとの意見を聞きます。しかし,手持ちのデータではサンプル数がその必要なサンプル数が存在していません。

そ れで上の「重回帰分析で,説明変数の10倍のサンプル数が必要」というのは一体,何に対して必要なのか知りたいと思っています。説明変数の10倍のサンプ ル数が必要というのは,得られたモデルの安定性の意味で必要ということなのか(これは直感的にすぐわかるのですが),それともそもそも説明変数と従属変数 の間に相関があることを示すだけでも説明変数の10倍のサンプル数が必要なのでしょうか。

どなたかご存知の方がいらっしゃればご教授くださると幸いです。

No.10223 Re: 重回帰分析に必要なサンプル数  【青木繁伸】 2009/06/27(Sat) 11:40

> 得られたモデルの安定性の意味で必要

そういうことです。
無い袖は振れないですね。

でも,「重回帰分析で,説明変数の10倍のサンプル数が必要」とは,なんと,緩い基準であることか。

単回帰ならサンプルサイズ10,独立変数が5個でも,50でよいなんて。緩すぎる。
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上記も,サンプルサイズとは,全体の対象数でしょうか。終末事象のことでしょうか。

よろしくお願い申し上げます。

No.21311 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【青木繁伸】 2014/09/10(Wed) 14:58

> 私達周辺でいわれている「パワー」とは,ロジスティック回帰分析に必要なサンプル数です。

そのようなものは,「必要なサンプルサイズ」といえば良いだけです。
ふつう,統計学の中でパワーというと statistical power つまり,1から第二種の過誤 β をさっ引いた値 1-β のことをいいます。βは第一種の過誤 αの4倍ほどと推定されるので,power = 0.8 とされることが多いでしょう。パワーアナリシスでは,α,β,指定統計量を定めたとき,必要なサンプルサイズが決まるという仕組みになる訳です。ですから,「パワー」は「サンプルサイズ」ではありません(サンプル数という用語は不適切です。サンプルサイズとか標本の大きさというべきです)。

パワーアナリシスは様々な検定(推定)の全てで定義(定式化)されてはいません。
ロジスティック回帰の場合のパワーアナリシスについて,誰かが知っていればフォローしてくれるでしょう。

> 終末事象が 3 件で,独立変数を 15 個程度,全体の対象数は2000人です。

> N数とは,全体の対象数でしょうか。終末事象のことでしょうか。

前に揚げた過去ログ(No.11155) に,

> 「1000例のデータがあるが,終末事象は50例しかないので,5つの独立変数が使える」と述べていますね。

と書いてあるでしょう。終末事象が 10 件あるなら 1 つの独立変数が使える(これは,相当楽観的な数字だと思うのだが)。

あなたの場合,終末事象が 3 件なら,独立変数 1 つも使えない。

その結果をもって,

> 私が知りたいのは,Hosmer-Lemeshowのgoodness-of-fit testを用いてモデルとして,Adjusted ORは適している,Crude ORは適していないとの結果の場合,どういう統計的解釈を専門家はするのかということです。

といっても,始まらない。

No.21312 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【ののじ】 2014/09/10(Wed) 15:16

青木先生,お返事,ありがとうございます。

再度の繰り返しになりますが,下記の部分に対しては御回答はいかがでしょうか。

************************************
No.11154 Re: ロジスティック回帰分析についてですが。  【surg】 2009/10/30(Fri) 09:56

> 再度ロジスティック回帰分析についてですが,独立変数の選択は単変量解析においてp<0.25やp<0.1,p<0.05などありますがどれを採択するのが望ましいのでしょうか?

青木先生も仰っているように,単変量解析の結果でモデルを選択する方法は間違っています.モデルの選択は各モデルのデビアンスの尤度比検定(あるいはスコア検定,Wald検定),あるいはAICの比較により行うべきです.

>またN数は独立変数の10倍程度必要とのことですが満たさない場合は信頼性が低いのでしょうか?

「信頼性」は問題ないでしょう.推定値の信頼区間が広くなったり,検定で有意差が認められにくかったりするだけです.
***************************************
上記の過去ログの中のN数とは,全体の対象数でしょうか。終末事象のことでしょうか。

臨床系と統計では隔たりがあるようですが,私も一時期,統計系の教室の非常勤講師をしていたことがあります。

また,学術的議論に侮辱は不要かと存じます。
上記の質問にも御回答いただけましたら幸いです。

No.21313 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【青木繁伸】 2014/09/10(Wed) 16:15

> 上記の過去ログの中のN数とは,全体の対象数でしょうか。終末事象のことでしょうか。

終末事象の個数でしょう。

質問者(また,回答者)がそのように意図していようがいまいが(N数という用語を使っている所を見ると,質問者はサンプルサイズと思っているのかもしれませんが),先の URL に従うとすれば,終末事象を指しているべきものでしょう。

過去ログにも,また,提示した URL でも,「*重*回*帰*分*析*の*場*合*は*,サンプルサイズは独立変数の10倍は必要」とある。

No.21316 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【ののじ】 2014/09/11(Thu) 09:17

青木先生,お世話になっております。

「*重*回*帰*分*析*の*場*合*は*,サンプルサイズは独立変数の10倍は必要」
上記前提のもとの議論です。

過去ログ(No.11154)
>またN数は独立変数の10倍程度必要とのことですが満たさない場合は信頼性が低いのでしょうか?

「信頼性」は問題ないでしょう.推定値の信頼区間が広くなったり,検定で有意差が認められにくかったりするだけです.

過去ログ(No.11155)

> 「1000例のデータがあるが,終末事象は50例しかないので,5つの独立変数が使える」と述べていますね。

と書いてあるでしょう。終末事象が 10 件あるなら 1 つの独立変数が使える(これは,相当楽観的な数字だと思うのだが)。

あなたの場合,終末事象が 3 件なら,独立変数 1 つも使えない。

上記は,
「*重*回*帰*分*析*の*場*合*は*,サンプルサイズは独立変数の10倍は必要」であるが,終末事象が必要なサンプルサイズを満たしていない場合であっても,計算した場合,その信頼性は問題ない
との論理展開となるように解釈できます。

どういうことでしょうか。
よろしくお願い申し上げます。

No.21318 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【後医は名医】 2014/09/11(Thu) 21:22

以下は私の考えで,正しいのかどうかわかりませんが,
>「信頼性」は問題ないでしょう.推定値の信頼区間が広くなったり,検定で有意差が認められにくかったりするだけです.
この解釈ですが,例えばオッズ比10で95%信頼区間が0.1から1000となった場合,「0.1から1000」までの間にあるという信頼性は95%の確率であるといえます。そう考えると,信頼性はあるということになりますが,はたしてこんなオッズ比が役に立つかは疑問だと思います。

No.21319 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【青木繁伸】 2014/09/11(Thu) 21:34

> 「信頼性」は問題ないでしょう.推定値の信頼区間が広くなったり,検定で有意差が認められにくかったりするだけです.

といっているのは,surg さんですよ。私じゃない。
それに,「推定値の信頼区間が広くなったり,検定で有意差が認められにくかったりするだけです. 」ということ自体が,「信頼性に問題がある」ということではないですか?そのような状態でもなお,「有意である」と,帰無仮説が棄却できたならば,問題があるとはいえないだろうということでしょう。
それでもなお,私としては,そのように帰結するのは納得できない。調査デザイン的に問題がある。事前にサンプルサイズが決められないとしても,その時点で結論づけるべきではない。サンプルがもう少し集まるまでまつべし。と,思うわけです。

まあ,色々な立場,考え方から,さまざまな意思決定をするわけですので,一概にダメだとはいわないようにします。
ただ,なるべく客観的に考察しないと,投稿してから査読者にあれこれいわれるのもなんだかなあと思いますので,私なりの意見を述べました。

ご自身の経験・判断でいいんじゃないかということでしたら,それでよいのでは??

No.21320 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【後医は名医】 2014/09/11(Thu) 23:16

>研究開始にあたり,事前にパワー計算する方法も御教示頂けましたら幸いです。
丹後俊郎著「ロジスティック回帰分析」(朝倉書店)のp47に記載してあります。

No.21321 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【ののじ】 2014/09/12(Fri) 09:50

青木先生および後者は名医様,ご返事,ありがとうございます。
この掲示板は,私が統計学を勉強し始めたころから利用させて頂き,大変勉強になっております。

上記,了解しました。
また,しつこいようですが,下記はどうでしょうか。

>また,終末事象のサンプルサイズが,必要サイズを満たしていなくとも,その信頼性には問題ないし,有意差がでにくくなる,です
→最初の質問にもどります。
1)ロジスティック回帰分析を用いて,データ解析を行いました。
Adjusted ORとCrude ORの値がかなりかい離し,また,Adjusted ORの値が極めて高い値となりました。

上記の方の主張によると(これまでの私の考えでも),サンプルサイズが,必要サイズを満たしていない場合,有意差はでにくくなるのではないでしょうか?
私の場合は,逆に極めて高い値となっていることが問題ではと考えています。

私なりの上記のことに関する考えは下記のようです。
*αエラー(第一種の過誤)「本当はないものをあるとする; faulse positive」なのではないか。
この件に関しては,下記のWebが詳しく記載しており,「見過ぎによる出過ぎ」に詳しく記載されております。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02937_06

一方,多重検定の項目の講座では,p値の概念のないオッズ法による検定法を推奨しております。

上記から,これらのp値に関しての記載を,adjusted ORにも当てはめて大丈夫かという疑問もあります。

しつこくて,申し訳ございませんが,どうぞ,よろしくお願い申し上げます。
また,わかりづらい点などご指摘いただけましたら幸いです。

No.21322 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【青木繁伸】 2014/09/12(Fri) 12:03

スレッドが長くなって困ったものですが

> 上記の方の主張によると(これまでの私の考えでも),サンプルサイズが,必要サイズを満たしていない場合,有意差はでにくくなるのではないでしょうか?

帰無仮説が正しい場合は,サンプルサイズにかかわらず,有意という結果が出るのは有意水準で指定した確率になります(だって,それが検定の基礎ですから)

以下で,実例を示しますが,簡単のための母平均=0の検定を取り上げます。R での実例を示しますが,R だからといって分からないということはないと思います。

さて,まず,母平均=0の正規母集団から,サンプルサイズ n の標本を採るのは,rnorm(n) のように表されます。このデータに母平均=0の検定を適用するのは t.test(rnorm(n)) とします。その結果から p 値を取り出すのはt.test(rnorm(2))$p.value とします。それが有意水準αより小さいかどうかの判定をするのは,t.test(rnorm(2))$p.value < α とします。その結果が正しければ 1,間違っていれば 0 をかえします。以上を k 回繰り返すのは,replicate(k, t.test(rnorm(n))$p.value < α) とします。この結果は k 個の 1, 0 からなるベクトルです。その平均値をとるのは mean(replicate(k, t.test(rnorm(n))$p.value < α)) です。その値(平均値)は,p値がαより小さくなる(帰無仮説が棄却される)確率です。

では,α=0.05 の場合について(k=100000,n=2, 20, 200, 2000)

> mean(replicate(100000, t.test(rnorm(2))$p.value < 0.05))
[1] 0.04966
> mean(replicate(100000, t.test(rnorm(20))$p.value < 0.05))
[1] 0.04959
> mean(replicate(100000, t.test(rnorm(200))$p.value < 0.05))
[1] 0.05032
> mean(replicate(100000, t.test(rnorm(2000))$p.value < 0.05))
[1] 0.05174

n が小さくても,p < 0.05 となる確率は 0.05 に近いことがわかるでしょう。n=2でもですよ。
n=2000になると,確率が 0.05174 と,0.05 より大きいじゃん!
それはね...

つぎに,帰無仮説が正しくない場合,ただし 母平均が 0 と大きく異なるのではなくて 0.1 のとき
rnorm(n, mean=0.01) は,母平均=0.01の正規母集団から n この標本を取り出すこと
っじゃ,やってみよう

> mean(replicate(100000, t.test(rnorm(2, mean=0.1))$p.value < 0.05))
[1] 0.05036
> mean(replicate(100000, t.test(rnorm(20, mean=0.1))$p.value < 0.05))
[1] 0.07048
> mean(replicate(100000, t.test(rnorm(200, mean=0.1))$p.value < 0.05))
[1] 0.29164
> mean(replicate(100000, t.test(rnorm(2000, mean=0.1))$p.value < 0.05))
[1] 0.99378

この解釈は,サンプルサイズが大きくなると,どんなちいさな差でも検出されるようになるということ。サンプルサイズが小さいと,検出されにくいと解釈してもよいけど,正確に言えば,「検出できない」ということ。

最後。じゃあ,サンプルサイズが小さいと何が起こるのか?
それは,偶然,たまたま,検定統計量が(場合によっては,突拍子もないほど)大きくなることがあるということ。有意になる割合は変わらないというのは,一番最初のシミュレーションで示した通り。

母平均=0の正規母集団から取った標本の平均値を求め,その最大値と,最小値を見てみる。

> range(replicate(100000, mean(rnorm(2))))
[1] -3.458811 3.172378
> range(replicate(100000, mean(rnorm(20))))
[1] -0.9308032 1.0074938
> range(replicate(100000, mean(rnorm(200))))
[1] -0.3019731 0.3315292
> range(replicate(100000, mean(rnorm(2000))))
[1] -0.10475216 0.09462995

当たり前だが,サンプルサイズが2ならたまたまどちらも大きい(小さい)ということもあるので,標本平均も広い範囲の値を取る。しかし,2000個全部が大きい(小さい)ということはあり得ない。

以上を,あなたのデータに当てはめると,
サンプルサイズが小さいために,たまたま Adjusted OR がきわめて高い値となった,そのため有意となった。しかし,同じサンプルサイズで何回も同じように検定しても,有意となる割合は有意水準に近いものであり,サンプルサイズが小さいからといって有意になりにくいと言うものではない。もし本当に OR が高いのなら,サンプルサイズを増やしていっても,有意なままであろう。もし,たまたま OR が高いというだけだったなら,サンプルサイズを増やしていったら OR は高いままではないだろう。
いずれにしろ,サンプルサイズが足りないのだから,サンプルサイズを増やす努力と時間が必要であろう。

> 私の場合は,逆に極めて高い値となっていることが問題ではと考えています。

さて繰り返し質問されている Adjusted OR と Crude OR の乖離であるが,実際の計算式を知らないので何ともいえないが,これまた正しい例示かどうか分からないが,分散と不偏分散の関係とにているのかな?変動を n で割るか n-1 で割るかであるがもし,変動が 100,n=3 なら,不偏分散は 100/2=50,分散は 100/3=33.3 ですもんね。
サンプルサイズが大きくなれば n で割ろうが n-1 で割ろうが大差ないということになるということ。

まずは,Adjusted OR の計算方法を確認して,あなたのデータの場合に何故 Crude OR と大きく異なるのかを突き止めればいかがでしょう。

No.21324 Re: ロジスティック回帰分析でのAdjusted ORとCrude ORの解釈について  【ののじ】 2014/09/12(Fri) 14:01

青木先生,ありがとうございます。

なんとなく,これまでの疑問の解決の光が見えてきました。
根気よく,教えてくださり,ありがとうございました。

今後とも,よろしくお願い申し上げます。

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